この記事でわかること
- エモーショナルライティングの詳細
- エモーショナルライティングの実践方法
- エモーショナルライティングで使われるフレームワーク
インターネットが生活の一部となった現代において、文章でコミュニケーションを図ることが当然になりました。
そのため、文章力やライティングスキルが必要となる場面が増えています。
とくに、事業を行っている人は、プレゼン資料やメールを書く文章力以外にも、集客や売上につなげるライティングスキルが求められます。
ライティングとひと言でいっても、種類はひとつではなく、大きく分けて『ロジカルライティング』と『エモーショナルライティング』があります。
ポイント
『ロジカルライティング』は、情報を伝える書き方
『エモーショナルライティング』は感情表現・収益重視の書き方
本記事では、読者やユーザーの心を動かして、商品やサービスを売上につなげるための『エモーショナルライティング』について紹介します。
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エモーショナルライティングとは
ライティングとは、単に文章を書くだけではなく、行動心理や購買心理に基づき、ルールに従って執筆を行います。
エモーショナルライティングで行動させる
エモーショナルライティングとは具体的には、人の感情に訴えかけ、コンテンツを閲覧したユーザーの心を動かし行動を起こさせる文章構成や文章の書き方をといいます。
情報を理論的に伝え理解を促す『ロジカルライティング』と対をなす構成です。
エモーショナルライティングでは、ユーザーに対してイメージを想起させて、ストーリーを落とし込みながら伝える(体験をイメージさせる)書き方がポイントです。
人は、購入した先の未来がイメージできることで、購入したい気持ちが揺り動かされます。
ポイント
ロジカルライティング
対して、ロジカルライティングは、文章を行う上で基本的な書き方のひとつです。
特に、WEB上で読まれる文章においては、『誰が読んでも論理的でわかりやすい』ということが条件となります。
まずは、ロジカルライティングで文章の書き方の基本形をマスターすると、エモーショナルライティングも取得しやすくなります。
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エモーショナルライティングは販売が目的のときに使う
文章で人を商品やサービスの購入に誘導するには、感情の表現でユーザーに訴えかけることが大切です。
たとえば、商品やサービスの販売を目的としているLP(ランディングページ)やメールマガジンを思い浮かべてください。
人の感情や欲望を刺激する魅力的なキャッチコピーや文章が並んでいます。
LPやメールマガジンは、販売が目的であるため、収益重視のコンテンツです。
エモーショナルライティングは、『申込み』や『購買』へつなげたいときに使用します。
ポイント
SEOライティング
ただし、エモーショナルライティングで記事を書くだけでは、ユーザーに見つけてもらうことはできません。
そこで必要になるのが、GoogleやYahooなどの検索エンジンの検索結果で上位表示させる施策となるSEOに特化した文章の書き方『SEOライティング』が必要になります。
SEOライティングを基軸に、ロジカルライティングとエモーショナルライティングを取り入れることで効果を発揮します。
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エモーショナルライティングの実装方法
ここでは、エモーショナルライティングの実装方法について解説します。
感情表現を行う
エモーショナルライティングでは、購買心理や行動心理につながる感情を表現することが重要です。
一般的に感情を動かすのは『右脳』であるといわれています。
右脳を動かすために、以下の2つの方面から感情を動かします。
1. ポジティブな感情を刺激する
1つ目が、文章のターゲットの悩みを改善することでポジティブな感情を刺激し、共感を呼び起こす方法です。
具体的には、読者に『あなたが扱う商品やサービスを使うことで、どのような得や未来(ベネフィット)があるのか』を伝えます。
一例として、ダイエットのサプリメントを販売するとしましょう。
ここで大事なことは、サプリメントに入っている成分を前面に押し出すことではありません。
ユーザーが、ダイエットのサプリメントを手に入れることでどのような未来が待っているのか、次のようなベネフィット(利益)を想像させます。
たとえば、下記のようなことをイメージしてもらうのです。
ポイント
理想の体型になると、体を隠すような洋服ではなく、着たい服が着られる
スタイルがよくなることで、自分に自信が付いて好きな人に積極的にアピールできる
このようにサプリメントを手にして服用することで、『良い未来』『理想の姿』をイメージさせて購買意欲を盛り上げるのです。
2. ネガティブな感情を刺激する
対して2つ目が、悩み事や困りごとなど、ターゲットのネガティブな感情を刺激する方法です。
たとえば、ダイエットサプリの場合、下記のような内容に共感を示します。
ポイント
運動を頑張っても、思いの外ダイエット効果が出ない
食事制限をすると、食べたいものが食べられないうえにリバウンドしやすい
その上で、サプリメントを使ったダイエットの手軽さや効能を説明すると、上記のような苦しみから解放されて痩せたい人の心に響く文章になります。
ポジティブ・ネガティブ2つの共通点
2つに共通しているのは、「ターゲットの悩み・辛さ・苦しさなど本音を深堀する」ということが必要です。
ロジカルライティングも、ターゲットの本音を深堀するという点では同じですが、とくにエモーショナルライティングにおいては、感情を揺さぶらなければ目的の行動まで促せない可能性が出てきます。
想像ではなく、実際のお客様の感情をヒヤリングできるとより近いベネフィットや悩みがわかります。
ターゲットにアンケートを取るなどして、何を求めているのかをリサーチしましょう。
自分事化させる方法
人は、自分に関係のない出来事には心を動かされません。
そこで重要になるのが、ターゲットに文章を読んでもらって「自分事化」させる方法です。
自分事化とは、自分に関係があると思わせることをいいます。
たとえば、次のような方法で、自分事化させることができます。
問いかけを入れる
人は質問されると、無意識に答えを探し始めます。
問いかけと回答を繰り返すうちに、自分に関係のあることだと認識するようになります。
商品やサービスを使った姿を想像させる
ポジティブな感情を刺激することと似ていますが、商品やサービスを使うことで「あなたの暮らしがこんなに良くなります」と例で示すことも有効です。
具体的な利益を描写することの他に、商品やサービスを利用したお客様の声や、口コミサイトの評判を記載するなどの方法があります。
エモーショナルライティングとロジカルライティングの例文
「エモーショナルライティングとは」をキーワードに、300文字程度で作成したエモーショナルライティングとロジカルライティングの例文を紹介します。
エモーショナルライティング
例文
あなたの心を揺さぶる、それがエモーショナルライティングの力です。
感動的な映画を見た後のように、文章から感じる温かさや共感が、読者の心を動かします。
しかし、感情だけでなく、論理的な側面も大切です。これをロジカルライティングといいます。
たとえば、商品の紹介文では、エモーショナルライティングで読者の心をつかみ、ロジカルライティングで商品の具体的な利点を説明することで、読者の購買意欲を高めることができます。
エモーショナルライティングは、人の心に響く言葉を紡ぎ出し、ロジカルライティングはその言葉を裏付ける論理を提供します。
上述したバランスが、文章をより説得力のあるものにするのです。
ロジカルライティング
例文
エモーショナルライティングは、感情に訴える文章術ですが、その効果を高めるにはロジカルライティングも必要です。
たとえば、製品の広告文を考えてみましょう。
エモーショナルライティングを用いて、製品を使うことで得られる喜びや満足感を描き出します。
その後、ロジカルライティングにより、製品の機能や性能、価格などの具体的な情報を提供することで、読者に製品の価値を論理的に理解させることができます。
エモーショナルライティングで読者の心を掴み、ロジカルライティングでその心を確実につかむことが効果的なコミュニケーションの秘訣です。
エモーショナルとロジカルライティング例文の違い
上記の例文において、エモーショナルライティングとロジカルライティングの違いは以下のとおりです。
エモーショナルライティング
- 感情を刺激する言葉遣い:「あなたの心を揺さぶる」「感動的な映画を見た後のように」「読者の心を動かします」などの表現が感情に訴えかける
- 共感を誘う描写:「文章から感じる温かさや共感が」といった読者の感情を想起させる描写が含まれている
ロジカルライティング
- 具体的な情報の提示:「製品の機能や性能、価格などの具体的な情報」といった、論理的な根拠に基づく詳細な説明がされている
- 論理的な構成:「エモーショナルライティングで読者の心を掴み、ロジカルライティングでその心を確実につかむ」といった、論理的な流れで文章が進んでいる
上述のように、エモーショナルライティングは感情に訴える要素が強調されており、ロジカルライティングは論理的な情報提供と構成が特徴になっています。
エモーショナルライティングの学び方
エモーショナルライティングは、他のライティング技術同様、具体的なコツを知り実際に使って反復練習を行うことが上達の近道です。
売り上げに直結するエモーショナルライティングは、ビジネスの世界では一般的な手法です。
他の言い方では、エモーショナルライティングのことを『セールスライティング』と称する場合もあります。
また、エモーショナルライティングには、以下のようなフレームワーク(型)があります。
- AIDMA
- AIDCAS
- PASONA
- BEAF
- QUEST
なかでも代表的で、よく活用されているのが『AIDMA』と『PASONA』です。
以下では、『AIDMA』と『PASONA』に焦点を当てて解説します。
AIDMAの法則
AIDMA(アイドマ)の法則とは、消費者が商品を購入するまでプロセスを視覚化させたものです。
『文章の書き方』と、『ユーザーの購買決定プロセスを説明するためのフレームワーク』(行動心理を図る)際に用いるケースがあります。
AIDMAは、1920年代にアメリカの著作家、サミュエル・ローランド・ホール氏によって提唱された概念
AIDMAは、以下の単語の頭文字を取って、構成されています。
『ユーザーの購買決定プロセスを説明するためのフレームワーク』として活用するときは、まず、どの段階にユーザーがいるのかを見極めて、そのうえで、段階に応じた接触方法を行い購買へと結び付けていきます。
文章としてフレームワークに当てはめる際は、下記の1~5の順に、文章を当てはめていきましょう。
ポイント
- Attention:注目、商品やサービスについて知る
- Interest:興味を持つ
- Desire:欲しいという欲求
- Memory:記憶
- Action:購買行動
図を参考にしてみると、流れがわかりやすくよりリアルにイメージできます。
PASONAの法則
PASONA(パソナ)の法則とは、消費者の購買心理を高めるのに非常に効果的な文章の書き方となります。
PASONAの法則は、マーケターの神田昌典氏が提唱している法則で、商品・サービスの紹介ページやセールスプロモーションで効果的
下記の1~5の順に文章を当てはめて作成します。
ポイント
- Problem(問題):悩み、不安、不平、不満を示して問題提起をする
- Agitation(煽り・共感):そのままでは大変だと煽ってから悩みに共感する
- Solution(解決策):問題解決策として商品とその機能などを紹介する
- Narrowing Down(絞込):ターゲットや期間を限定する
- Action(行動):行動を促す
PASONAもAIDMA同様、図を見てみることでイメージしやすくなります。
執筆をする際は、いきなり書き進めようとするのではなく、各フェーズ毎に文章をい一度書き出し、そのうえで全文をつなげていく書き方がうまくいきます。
法則どおりに読者が行動してくれないときは5W1H
しかし、法則どおりに読者が行動してくれないケースも大いにしてあります。
その時は、「人が記事を読んでも行動しない理由」を『5W1H』を活用して、一度整理してみましょう。
人が行動しない理由:5W1H
When:この商品をいつ導入するのか
「今、やらなくても大丈夫」と思っている
Where:どこで実践するのか
→「実践できる環境や場所がない」と思っている
Who:誰が対象の商品なのか
→「自分の事ではなく、他人事」だと思っている
What:何をすべきなのか
→「何に注力すればよいのか」すべき理由が定まっていない
Why:やる必要があるのか
→「なぜやらないといけないのか」が認識できていない
How:どのようにやるのか
→「自分(自社)に合う手法」がわかっていない
記事や、行動喚起を示すランディングページなどを読んでも、行動しない人の理由を以上のように整理してみることで、何が不足しているのかがわかり次の一手が見えてきます。
人に行動を促すには、上述した5W1Hの要素すべてに対して訴求できていることが理想です。
フレームワークは、先述した『AIDMAの法則』でもアプローチは可能ですが、『PASONAの法則』の方が「行動してもらうために伝えるべきことが網羅できる」といわれています。
お客様の気持ちを想像しよう
エモーショナルライティングは、WEB記事から商品やサービスを販売したいときや問い合わせや申込みに促したいときに最適なテクニックです。
なぜなら、読者の気持ちに共感し、行動したい気持ちを盛り上げる力があるためです。
エモーショナルライティングで十分な効果を発揮させるためには、ターゲットとなるお客様の気持ちを理解することが大切です。
具体的な読者像を想像し、そのたった一人に向けて書くことで、ターゲットの心に響く文章が書けるようになります。