WEB集客を行う方法が複数ある中で、真っ先に取り組みたいのが集客のプラットフォームとなる自社保有のWEBサイトです。
WEBサイトを保有する場合は、検索エンジンからユーザーの流入を増やし集客数や売上げアップにつながる施策、SEOの実装が欠かせません。
SEOの実装させるためにイメージするのは専門業者への依頼ですが、昨今では『インハウスSEO』(内製化)の取り組みが高まっています。
インハウスSEOは、専門業者へ外注せずに自社でSEOに取り組み、実装させることを指します。
即効性があるといわれている広告とは異なり、SEOは中長期的な取り組みです。そのため、業者に依頼するよりも自社で行う方がコスト削減につながるうえに、スピーディーに対応できます。
SEOとはSearch Engine Optimization(サーチ・エンジン・オブティマゼーション)の頭文字をとった用語で、日本語に訳すと『検索エンジン最適化』を意味します。
SEOについて詳しくは、下記の記事でお伝えしています。併せてご覧ください。
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本記事では、インハウスSEOのメリットやデメリット、実際に社内で発生する業務内容などについて紹介します。
インハウスSEOとは
『インハウスSEO』とは、自社内でSEOを内製化させる体制づくりをいいます。
インハウスSEOでは、SEOで必要なキーワード選定からWEBサイトのコンテンツの作成、運用、効果の検証・改善までをすべて自社内で行います。
一方で、インハウスSEOに対して、SEO集客のための企画から実装までを業者に完全に外注する方法が『アウトソーシングSEO』です。
アウトソーシングSEOは、社内の人材が不足していて専門部署が構えられない場合に適しています。
また、SEO施策の一部のみ(コンテンツ制作、あるいはアクセス解析など)を外注するセミアウトソーシングという方法もあります。
SEO集客は、実装後すぐに効果が出るものではありません。
中長期的な施策は長いスパンで考えると、アウトソーシングSEOを使った完全委託の場合、外注企業の経営状況が変わってしまう恐れがあるため向いているとはいえません。
そのため近年では、自社内でSEOを実装して、検証改善を繰り返しながら取り組めるインハウスSEOの重要性が高まっているのです。
インハウスSEOのメリット
インハウスSEOには、コストやノウハウの面などに3つのメリットがあります。
以下では、インハウスSEOを行う3つのメリットについて説明します。
コスト削減ができる
インハウスSEOを行うと外注費用がかからないため、費用を払っても成果がでていない場合は、社内で取り組むことで「外注費の削減ができる」メリットがあります。
SEOマーケティングを外注すると、制作費に加えて毎月の保守管理やコンサルティング費用など、およそ数万円~数十万円を予算として見込まなくてはなりません。
また、SEOによる効果は、目に見えてわかるまで数カ月から1年ほどの時間がかかります。その間は外注企業への委託費用が毎月かかることになります。
加えて、外注企業とやり取りを行うための担当者を自社内で選任することになるため、外注費と人件費の両方が必要です。
SEOによる集客を自社で内製化した場合は、費用は社内の人件費のみになるためコストダウンができます。
SEOのノウハウが社内で蓄積できる
インハウスSEOでは、社内でSEOの企画から実装させるまでのノウハウが蓄積できます。
SEOマーケティングを内製化することで、社内にノウハウが蓄積できれば、スキルが保有されていき、外注企業に依存しなくてよくなるため安心です。
対して、アウトソーシングSEOを利用すると、自社でSEOの施策やデータの分析を行う機会がないため、ノウハウが蓄積しにくくなるので注意しましょう。
自社で蓄積したノウハウは、会社の資産の一部となるため、商品サービスを増やしていく場合でも、社内で対応できます。
PDCAサイクルを早く回せる
PDCAとは事業をスピーディーに成長させるためのフレームワークであり、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(効果計測)」「Action(改善)」の略語です。
インハウスSEOでは、外注企業とやり取りをする必要がないため、PDCAサイクルを早く回せます。
Googleの検索エンジンは、WEBサイト内を巡回して検索結果で表示させる順位を決めています。
数多くあるWEBサイトの中から、自社のコンテンツを上位表示させるためには、検索エンジンに評価してもらえるようにスピーディーな対応が必要です。
アウトソーシングSEOの場合は、外注企業をとおすため、交渉に時間がかかり、更新が遅くなるケースがあります。
一方で、SEOマーケティングを内製化していれば、社内でPDCAがまわせるため素早く対応ができます。
また、自社のことをよく知る社員が対応を行うため、誰よりも商品サービスの魅力をアピールできることが強みになります。
インハウスSEOのデメリット
インハウスSEOには、さまざまなメリットがある一方で人材の確保や情報のアップデートなどのデメリットもあります。
以下では、インハウスSEOのデメリットについて説明します。
メリットとデメリットのどちらも事前に理解をして、インハウスSEOを取り入れましょう。
専任の人材が必要となる
インハウスSEOでは、社内にSEOマーケティングができる人材が必要です。
自社のサイトや記事を検索結果で上位表示させるには、コンテンツの品質を維持しなければなりません。
そこで、社内のインハウス担当者には、SEOに関する知識と技術が求められます。
専門知識がなければ、SEO対策における課題や進め方がわからず、効果的に作業が行えません。
また、SEOでもっとも大事なのは、ユーザー視点に立って検索読者が求める情報、ユーザーファーストといわれるテキストコンテンツの制作です。
ユーザーファーストである品質の良いコンテンツを作成するには、文章作成に関わるSEOライティングや編集の技術が必要です。
SEOライティングについて、詳しくは下記の記事でお伝えしています。あわせてご覧ください。
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社内に適切な人材がいない場合は、新たに即戦力の人材を採用するという方法もありますが、なかなか採用できない場合はコストがかかります。
適切な人材が見つかるまで、セミアウトソーシングの活用や、在籍中の人材にライティングの指導を専門企業に依頼する方法があります。
情報をアップデートしなければならない
Googleの検索エンジンは、ユーザーの利便性向上のために常にアップデートを続けています。
社内のSEO担当者は、常に時代に合ったSEO対策に関する知識を吸収し続けなければなりません。
古い知識のまま対策を行うと、成果が出ずに無駄な人件費や工数を割くことになります。
記事が上位表示されても、永続されるわけではありません。
SEO担当者はSEOマーケティングの基本的な知識に加えて、最新情報を入手しアップデートし続けながらコンテンツを改良していくことになります。
インハウスSEOに向いている企業
インハウスSEOを取り組む際は、導入が適した企業としていくつかの条件があります。
ここでは、インハウスSEOに向いている企業の特徴についてふたつ紹介します。
SEOの専門知識を持つ人材がいる
上述したとおり、インハウスSEOにはSEO専任の人材が必要です。
WEBマーケティングの専門知識を持つ人材が社内にいる場合は、施策に取り掛かりやすいためインハウスSEOを導入するのに向いています。
専門知識を持つ人がいない場合でも、SEOに取り組みたいと考えている人材がいれば、SEOに関する学習期間を用いることで技術が身につきます。
モチベーションを持った社員はSEOに関する勉強を意欲的に行うことが想定できるため、先行投資として教育することも有効な方法です。
SEOの重要性を理解している
インハウスSEOは短期間で結果が出るものではないため、長期的な視点で取り組むことが求められます。
社内でSEOの重要性と特徴をよく理解していなければ、予算が承認されないなどのトラブルが起こる可能性もあります。
とくに、短期間で集客の成果を求められる場合は、社内の理解が得られずSEOマーケティングはうまく進められません。
インハウスSEOを成功させるためには、社内でSEOの重要性を共有していることが必要です。
インハウスSEOの主な作業内容
この章では、実際にインハウスSEOで内製化に取り組む際に行う業務について紹介します。
担当者の業務量の参考にしてください。
目標の設定
まず行うのは、SEOによって達成したい目標を明確に設定することです。
自社の売上向上のために、ユーザーが自社サイトでどのような行動をしてもらいたいのかを具体的に考えます。
たとえば、「WEBサイトからの資料請求を増やす」「自社の商品の認知度を上げる」など、目標は会社ごとに異なります。
明確な目標があることで、効果の分析をした時に改善すべき点が明らかになり、サイトを改善しながら運用できます。
WEBサイトの改善
サイトの改善では、ユーザーが利用しやすいWEBサイト構築を心がけます。
Googleは、WEBサイトを評価する基本理念に、前の章で説明した『ユーザーファースト』を掲げています。
そのため、Googleの評価につながるようにWEBサイトを適切に改善します。
WEBサイトの適切な改善項目には、主に下記の3つが挙げれられます。
改善項目
- 内部リンクの最適化
- 重複コンテンツの見直し
- スマートフォンでの表示の確認
以下において、ひとつずつ説明します。
内部リンクの最適化
ユーザーがサイト内を移動しやすいように、サイト内の記事同士をリンクさせる内部リンクを設定します。
内部リンクの最適化は、SEOの施策のひとつです。
内部リンクを設定することで、関連する記事に簡単に移動できるようになるため、欲しい情報にたどりつきやすくなり、ユーザーの利便性が向上します。
また、Googleのクローラ(WEBサイト内を巡回して情報を収集するロボット)は内部リンクをたどってサイト内を移動するため、内部リンクが最適化されているとサイトの評価につながります。
設定する内部リンクは、リンクを設定する記事とリンクとして貼られる記事同士の関連性が高いほど、両方の記事の品質が上がります。
記事の品質が上がると、記事やサイトへの検索エンジンからの評価がさらに上がり、上位表示に期待できるようになります。
内部リンクを最適化して、ユーザーの利便性と検索エンジンからの評価を高めましょう。
重複コンテンツの見直し
重複コンテンツとは、他のコンテンツとタイトルや内容が重複しているものです。
同サイト内に同じような内容を記載している重複コンテンツがあると、コピーペーストしたコンテンツ(コピーコンテンツ)とみなされてしまう可能性があります。
コピーコンテンツとみなされた場合は、検索エンジンからマイナスの評価を受けてしまい、ペナルティが課せられる可能性があります。
ペナルティが課せられると検索結果の圏外に追いやられることになり、検索しても圏内に記事やサイトが表示されなくなるため、コピーコンテンツをつくることのないように注意しましょう。
スマートフォンでの表示の確認
Googleは、『モバイルフレンドリー』であるサイトを評価するとしています。
モバイルフレンドリーとは、WEBサイトをスマートフォンなどのモバイル端末で閲覧しやすくすることです。
モバイル端末でWEBサイトを閲覧するユーザーが増えているため、パソコンからだけではなくモバイル端末でも見やすいサイトづくりを心がけます。
コンテンツの制作
コンテンツ制作では、自社の商品サービスに関連した情報で、ユーザーが求めている内容でわかりやすい質の高いコンテンツづくりを行います。
具体的には、自社がターゲットとするユーザーの悩みや疑問などを解決に導けるコンテンツを企画・制作することです。
ユーザーファーストであるコンテンツは、Googleの評価につながります。
コンテンツはユーザーに沿った内容で、5つのポイントに注意してつくります。
キーワード選定
キーワード選定は、顧客となる層をサイトに誘導するためのワードを選ぶ重要な工程です。
キーワードは、自社の商品サービスに合ったもので、ユーザーが検索しそうなワードを設定します。
はじめに、キーワード選定では集客するためのメインとなるキーワードを選びます。
次に、メインキーワードから派生する関連キーワードをなるべく多く選び、実際に記事にするものを取捨選択します。
関連キーワードを選ぶ際は、月間で何回検索されるかを予測する『検索ボリューム』という指標を使って、選んだキーワードが集客につながりそうか否かを判断しましょう。
詳しいキーワード選定の手順は、以下の記事でご確認ください。
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タイトルや見出しにキーワードを入れる
選定したキーワードは、記事のタイトルや見出しの中に含めます。
タイトルや見出しにキーワードを含めることで、ユーザーの目に留まりやすくなります。
タイトルや見出しは、検索エンジンに対してコンテンツの内容を伝える役目も持つため、キーワードを含めることで検索エンジンに記事の内容が正しく伝わります。
また、タイトルにキーワードを入れる際は、なるべく前方に配置するようにしましょう。
理由は、長いタイトルの後方にキーワードを入れると、検索結果の一覧に表示された際に省略されてしまいユーザーから見えなくなる可能性があるからです。
前方に設置することで、ひと目でどんなことが書かれている記事であるか、分別が付きやすくなります。
以下の記事では、SEO効果のあるタイトルの付け方を説明しています。
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わかりやすく読みやすい表現をする
コンテンツの本文は、わかりやすく読みやすい表現で執筆します。
記事の文章がわかりにくいと、ユーザーが最後まで読まずにサイトから離脱してしまう可能性があります。
また、読みやすい文章は、Googleからの評価にもつながります。
文章を書く際は、以下のように代名詞を多用しないことや表記ゆれをなくすことを意識します。
- 代名詞:「これ」「それ」などのこそあど言葉(指示語とも呼ばれる)
- 表記ゆれ:同じ意味の単語を異なった表現をすること(例:「問合せ」「問合わせ」「問い合わせ」)
代名詞や表記ゆれが多数あると、内容を理解するのに時間がかかり読みにくくなります。
また、文章にはキーワードとともに、『共起語』を含めるようにします。
共起語とは、キーワードと一緒に使われやすい単語のことを指します。
共起語を含めることで、コンテンツの情報の深みが増して、検索エンジンから内容が充実していると判断されます。
SEOライティングに関しては、以下の記事で詳しく説明しています。
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画像検索に対応する
近年は画像検索をするユーザーが増えているため、SEO対策でも画像検索に対応が求められます。
検索エンジンは、画像の内容を理解できないため、記事内の画像に『alt属性』を設定して画像の内容を伝えます。
alt属性とは、画像の内容を説明するテキストのことです。alt属性を設定しておくと、通信エラーなどで画像が表示されない場合でも説明テキストが表示されます。
画像の内容を検索エンジンに伝えるだけではなく、ユーザーに対しても親切な設定です。
効果の計測
SEOの成果を上げるには、効果の計測が欠かせないため、アクセス解析と検索順位の確認を必ず行います。
効果の計測は、Googleの計測ツール、サーチコンソールやアナリティクスを使います。サーチコンソールやアナリティクスは、基本的には無料で使用できます。
効果の計測では、サイトを訪れたユーザーが自社の目標である『資料請求』や『商品サービスの購入』などの行動を起こしているかを分析します。
目標となる行動につながらない場合は、サイトの行動や導線などを見直す必要があります。
効果の計測で結果が伴っていない記事があった場合は、検索順位を上げるためにリライトを行います。
リライトとは、記事を加筆修正する作業であり、適切に行うことで検索順位を上げていきます。
記事全体を見直し、キーワードの配置や記事の内容の充実など、改善点を見つけてリライトを行います。
インハウスSEOについて学べば社内で内製化できる
インハウスSEOとは、SEOを実装するためにWEBサイトの構築などを行う体制を、企業内で内製化することをいいます。
SEOを内製化すると、WEB集客によるコストダウンが図れることや、社内にノウハウが蓄積されるなど、アウトソーシングSEO(外注化)では得られない大きなメリットがあります。
とはいえ、インハウスSEOを実施するには、社内に専門の知識を持つ人材が必要です。
SEOやライティングに関する知識は専門的に学ぶことで身につくため、技術者がいない場合は人材育成をするという方法もあります。
インハウスSEOを成功させるには、社内の体制づくりが重要です。
結果が出せる体制づくりのために、技術やノウハウを社内に取り組むところから始めてみましょう。