SNSが普及するにつれて、多くの企業や個人事業主がSNS集客に取り組んでいます。
SNSは手軽さと拡散力が魅力で、うまく利用して集客に成功している例もあります。
しかし、なかには「SNS集客を始めてみたのはいいけれど集客にはつながらない」という声も聞こえてきます。
SNS集客で思うように集客ができない原因は複数ありますが、代表的な理由には「集客導線がない」ことと「SNSが持つ特徴」が挙げられます。
本記事では、SNSで集客ができない理由をお伝えします。また、効果的にSNSを利用する方法についても併せて説明しています。
「集客」という言葉の概念
集客とは、競合他社との差別化を図り、自社の商品やサービスの特徴や魅力を広告や、SNS、WEBサイトなどで発信して、売上げにつながる見込み顧客を獲得する戦略を指します。
そのため、SNSを例にとると、投稿に対しての「いいね」数やフォロワー数を増やすことが集客ではありません。
SNSの投稿による発信は、あくまでも集客につながる入口のひとつといえます。
見込み客を獲得するためのアプローチを行う
一方で、広告は商品サービスをアピールするメディアになりますが、SNSやWEBサイトでは、ECサイト(ショッピングカート付きの通信販売サイト)でない限り商品サービスをいきなり売り付けることは行いません。
まずは、見込み客を獲得するために戦略を考えたアプローチが必要です。
集客導線をつくる
主に、以下の手段を通じてWEBサイト内で集客導線をつくり見込み顧客を獲得します。
(1) ホームページやブログで、ユーザーが必要としている情報(興味関心があることや問題解決など)を、集客コンテンツとして提示する(商品サービスと関連した情報)
(2)集客コンテンツの中で、自社が発行するステップメールやメールマガジン、LINE公式アカウントなどに登録を促し、メールアドレスやアカウントリストを集める
資料請求や問合わせも、リストを取るための手段に活用できる
(3)集めたリストをもとに、自社の商品サービスを認知してもらうために、個別相談や無料(もしくは安価)セミナーなどの案内をメールやLINEアカウントなどで行う
(1) に誘導するには、SNSや検索エンジンからの流入(SEO)があります。
また、(1)に誘導したうえで(2)を明示して登録を促します。
(2) では、ユーザーを行動に促すためのCTA(Call to Action)の設置が必要です。
※CTAについては、次の項で詳しくお伝えします。
ステップメールやメールマガジン、LINE公式アカウントを通じて、見込み顧客と接触回数を増やし信頼関係を構築しながら(3)へとつなげていきます。
「集客導線」「ステップメールとメールマガジンの違い」については、下記の記事で詳しくお伝えしています。
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集客コンテンツには目的のCTAを設置する
CTA(Call to Action)とは、WEBサイトにアクセスしたユーザーを、発信者が望むどおりの行動(資料請求や問合わせなど)をとってもらうために設置するテキストリンクやボタンのことを指します。
上記の図のように、CTAを設置する際はユーザーにクリックしてもらえるように、誘導文やキャッチコピーを記載します。
検索エンジンで検索をして、WEBサイトにたどりついてくれたユーザーは、情報を入手する本気度が高く濃い見込み客です。
しかし、WEBサイトに多くの検索ユーザーがアクセスしてくれても、CTAが設置されていないと集客にはつながりません。
検索ユーザーを集客につなげるために、集客コンテンツを制作すると同時にCTAの内容を決めておきましょう。
「CTA」については、下記の記事でさらに詳しくお伝えしています。併せてご覧ください。
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SNSだけでは見込み顧客の獲得は難しい
SNSのデメリットについて詳しくは後述しますが、SNSは文字数や画像の投稿数などに制限があることから、見込み顧客と信頼関係を築くまでに時間を要します。
また、前述した理由から、発信者が思うような行動をとってもらうことも、SNSだけでは限界があります。
SNSで集客できない問題点を回避する施策として、ホームページやブログコンテンツを用意しましょう。
先に述べたようにホームページやブログコンテンツにユーザーを誘導するには、SNS以外に検索エンジンからの流入(SEO)があります。
SEOとはSearch Engine Optimization(サーチ・エンジン・オブティマゼーション)の略したマーケティン用語で、日本語にすると『検索エンジン最適化』を意味します。
検索エンジンから検索ユーザーを増やすために、WEBサイト(ホームページ、ブログ、ECサイトなど)に施す施策や手法です。
ホームページやブログコンテンツに用いるSEOについては、下記の記事で詳しくお伝えしています。
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以下で説明するSNSの種類やそれぞれの特徴などを理解して、自社の商品サービスにあった集客方法を選択しましょう。
SNSの主な種類
SNSとはソーシャルネットワークサービス(Social Networking Service)の略で、数多くあるコミュニケーションツールのひとつです。
SNSを使った集客方法をSNS集客と呼びます。
SNSはコミュニティとなるため、登録者同士でコミュニケーションを取れるのが特徴です。
ここで紹介するSNSの種類は「Facebook・Instagram・X(旧Twitter)・YouTube・LINE公式アカウント」です。
Facebook(フェイスブック)
Facebookは、実名登録制のため信頼性が高く、個人事業主や経営者など、自身で事業を行っている人が多く利用しているといわれています。
利用者の年齢層が30代から50代であり、10代、20代の利用が少ないという面があります。
Instagram(インスタグラム)
Instagramは「インスタ映え」という言葉を生んだ、画像投稿が中心のSNSです。
利用者の年齢層は10代から50代と幅広く、とくに10代~30代の女性の間で人気があります。
X(エックス)(旧Twitter・ツィッター)
Xは、リアルタイム性が高く、リツイート機能によって拡散性も高いSNSです。
利用者の年齢層は10代から50代です。打ち込める文字数はSNSの中でもっとも少なく(※)、気軽に使えることで拡散が早い分、情報が埋もれるのも早い傾向にあります。
※SNSで定められている文字数制限は、都度変更される場合があります。各SNSの公式サイトで最新情報をご確認ください。
YouTube(ユーチューブ)
YouTubeは、動画投稿のSNSであり、第二の検索エンジンとも呼ばれています。
利用者の年齢層は10代から60代と幅広く、視聴者が多くいるのが特徴です。
LINE公式アカウント
LINEが提供する企業や店舗向けのアカウントです。
LINEは連絡手段として多くの人が利用しているため、普及率が非常に高いのが特徴です。
店舗に訪れた顧客にアカウント登録を促すケースが多いため、LINEアカウントのみでの新規顧客の獲得は難しいという面もあります。
SNSで集客ができない主な理由
SNSの特徴は、無料で使えて手軽に始められる点です。
安易に活用できる分、事前に適切な準備や戦略が必要になります。
SNSで集客ができない主な理由は、主に以下の3つが考えられます。
プラットフォームが無く集客導線がひかれていない
冒頭でお伝えしたように、集客を行うには導線が必要です。
ユーザーが必要としている情報を頻繁に発信しても、集客導線がひかれていなければ、売り手が期待する行動をとってはくれません。
集客導線をひくには、WEB集客のプラットフォームとなるホームページやブログコンテンツなどのWEBサイトが必要です。
SNSを入口として、誘導できるプラットフォームを準備しておきましょう。
売り込みが強すぎる
SNSはコミュニケーションツールであるため、本来は友人同士や趣味仲間同士で交流するためのものです。
SNSでは自分の趣味や日常生活を相手にアピールして、気の合う仲間とのつながりをつくります。
前述したような特徴を持つSNSで、コミュニケーションがないまま自社の商品やサービスの宣伝の投稿ばかりをしていると、ユーザーに警戒されてしまいます。
SNS集客では過度な売り込みはせず、まずはユーザーが「知りたい」「楽しい」と感じるような情報を投稿することで、発信内容に興味を持ってもらえます。
SNSは本来、仲間同士が交流する場であるということを忘れないようにしましょう。
ただし、商品やサービスにまったく関連のない趣味や日常生活の投稿のみになると、集客という目的から外れてしまいます。
まずは、コミュニケーションを図ることが第一条件となり、そのうえで商品サービスに興味をもってもらう努力がSNS集客には欠かせません。
潜在顧客や見込み顧客にアピールできていない
集客において欠かせないのは、自社の商品やサービスを必要としている人に提供することです。
SNSは不特定多数の人が閲覧する場所であるため、潜在顧客や顕在顧客(見込み客)となるユーザーにピンポイントで情報を届けられていない可能性があります。
潜在顧客とは自社の商品やサービスについて知らない人たちのことで、知ってもらうことで顧客となる可能性がある層です。
顕在顧客とは、自社の商品やサービスを知っていて興味を持っている層のことです。
下記の図は、市場に存在するユーザーを購買意欲と顧客心理で分けたものです。
自社の顧客となる可能性が高い顕在顧客と潜在顧客は、合わせて『見込み客』とよばれ、市場のユーザーのうち大部分を占めているといわれています。
見込み客が、自社が発信しているSNS内にどのくらいの率でいるか知ることもWEB戦略のひとつです。
例えば、若年層を対象にした商品やサービスを扱っている場合は、30~40代の利用率が高いFacebookよりも、10代~30代の利用者が多いX(旧Twitter)の方が顧客につながる可能性が高くなります。
引用元:令和4年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書┃総務省情報通信政策研究所
自社の商品やサービスのターゲット層が多く活用するSNSを選択して、効率よくアピールしましょう。
SNS集客のメリット
WEB集客を行う方法には、広告、SNS、SEOなどがあります。
それぞれに特徴があり、SNSで行う集客の主なメリットは以下の4つになります。
無料で利用できる
SNSは、広告以外の機能は無料で利用できます。
SNSマーケティングに知識のある人材を担当者にすることで、広告のように掲載費用が不要であるため、コスト的なリスクは比較的少なく済みます。
手軽に始められる
SNSは、スマートフォンにアプリをダウンロードするだけで手軽に始められます。
投稿、修正、削除も簡単に行えます。
なかには、SNS同士で連携が図れるものもあるため、一投稿で、ほかのSNSにも同時投稿ができれば、時間の節約にもなります。
拡散力が強い
SNS内の友だちやフォロワー数が多いと、投稿が閲覧される可能性が高く、瞬時に拡散できるのがSNSの特徴です。
ただし、待っているだけでは友だちやフォロワーは増えません。
友だちやフォロワー数を増やすためには、積極的に交流を図ることも必要になります。
効果が出るのが比較的早い
前述で紹介した「拡散力の強さ」から、SNS内で信頼関係が築ければ、集客への効果は広告やSEOに比べ早めであるといえます。
WEB集客のプラットフォームとなるWEBサイトや、リストをとるためのコンテンツの事前準備をしっかりと行いましょう。
SNS集客のデメリット
対して、SNS集客で行う主なデメリットには以下の4つが挙げられます。
デメリットを理解したうえで、リスク回避を行いながらSNS集客を行いましょう。
使用不可になる可能性がある
SNSは無料で使用できるサービスであることから、運営元がサービスをやめると、すべての機能が使えなくなります。
また、誤った使い方をしてしまうと、アカウントが突然利用不可になるケースもあります。
管理表を作成し、投稿する内容は別途テキストで残しておきましょう。
自己資産にならない
アカウントの所有権はSNS運営元の企業にあるため、前述のように使用不可になった場合、投稿履歴はすべて使用できなくなります。
そのため、投稿履歴は自社保有のコンテンツのように自己資産にはなりません。
時間をかけて投稿した情報が使い捨てにならないように、上述同様に投稿する内容は、別途テキストとして管理し、保管しておきましょう。
嫌がらせや誹謗中傷の危険がある
拡散力が強いのが魅力な反面、不特定多数のユーザーが多くいるため、ネガティブな情報も一気に広がってしまうことで嫌がらせや誹謗中傷などの被害を受ける危険性があります。
万が一、嫌がらせや誹謗中傷を受けた場合のリスクを考えておき、対策方法もガイドライン化しておくとよいでしょう。
毎日更新し続けなくてはならない
SNS投稿の直後は、新規フェードとして上に上がりますが、他者の新しい投稿が次々に上がってくるため、情報が埋もれてしまいます。
毎日投稿し続けなければ、伝えたい情報が下がってしまい拡散力は薄れてしまいます。
対策として、24時間365日検索エンジンから集客ができるように、SEOを実装させたホームページやブログコンテンツを運用することで、毎日更新しなくてもよくなります。
SNS集客以外の集客方法
SNS集客がうまくできない場合の、そのほかの集客方法について説明します。
SNS集客は単独で行うのではなく、ユーザー視点でつくられたブログやコラムといった読み物コンテンツと組み合わせることで効果を発揮します。
ブログを使った集客方法
SNS以外の集客方法として、無料ブログサービスではなくドメインを取得し、WordPressでつくった自社(自己)保有のブログを使う方法があります。
この場合のブログとは、個人の日常や趣味を綴った「日記ブログ」ではなく、自社の商品やサービスに関連した記事を投稿するコンテンツ型のSEOブログのことです。
ドメインとは、URLの一部を指し、WEBサイトがインターネット上のどこにあるかを示す住所のような役割をします。
悩みや問題を抱えたユーザーは、解決方法を求めてインターネット検索をします。
そして、検索結果で表示されたWEBサイトの中から、自分の悩みを解決してくれそうなWEBサイトやページ(ブログ記事)を訪問します。
ブログでは、前述したようなユーザーの問題解決をする記事を掲載することで、訪問した検索ユーザーに自社の商品やサービスに興味を持ってもらいます。
検索ユーザーに有益な情報を提供することで、未来の顧客、潜在・顕在顧客として獲得するのです。
上述したとおり、SNSの場合は拡散性が高く効果が出やすいのが特長ですが、常に新規投稿を更新し続けなければ情報が埋もれてしまいます。
対して、SEOを施したブログコンテンツの場合は、複数の工程を経て時間をかけて作成していくため、中長期的な有益な記事となり、毎日投稿する性質のものではありません。
SNSのように毎日投稿しなくても、検索エンジンで検索されて上位表示されれば、常にユーザーに見てもらうことができます。
また、自社(自己)保有のドメインであれば、SNSのように突然アカウントが停止されることやサービスが終了することがないため、ブログコンテンツを記事として蓄積していくことで自社の資産となります。
ドメインについては、下記の記事でわかりやすくお伝えしています。
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サーバーとドメインとは?初心者にもわかりやすく解説
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WEB集客においてブログとSNSを合わせた活用方法
ブログとSNSの大きな違いは、拡散力です。
ブログはSNSのように、短時間での拡散力がありません。
しかし、集客導線をつくりユーザーを獲得するには必要なメディアです。
SEOを施し、検索エンジンの検索結果で上位表示(1ページ目)されるまで続けていくことで、ブランディング効果も期待できます。
一方で、SEOを施したブログコンテンツは公開して終わりではなく、検索結果で上位表示されて、集客の成果が出るまで3~6カ月ほどの時間を要します。
ブログコンテンツで成果が出るまで時間がかかるのは、公開した後はアクセス解析で検証し、必要に応じて改善を行いながら、コンテンツをさらに強化していく施策が必要になるからです。
とはいえ、集客の成果が出るまで、待たなければいけないわけではありません。
ブログコンテンツ単体で検索エンジン経由での集客効果を待つのではなく、SNSの拡散力を活用してユーザーに認知してもらう方法があります。
良質なブログによる情報提供をメインとし、SNSをその補助的な役割として利用することで、効率的に集客効果を高めるという仕組みになります。
WEB集客はSNSとSEO施したコンテンツと併用しよう!
SNSは、本記事で紹介したとおり、手軽に始められて拡散力の高い集客方法です。
しかし、SNSは本来、コミュニケーションツールであるため、集客や宣伝をしたいという意図が色濃く前面に出すぎると、ユーザーに敬遠されてしまいます。
上述の問題点を回避するためには、SNSをブログの補助として利用することです。
SNSをホームページやブログへの入口として使い、コンテンツを活用してユーザーに有益な情報を提供し集客へとつなげます。
SNSで集客ができないとお困りの方は、ホームページやブログなどのWEBサイトの構築や見直し、集客導線を明確にするところから始めてみましょう。